新型コロナウイルスの感染拡大の影響はミャンマーも例外ではありません。とはいえミャンマーの被害は軽微なものにとどまっており、感染者数は187人で死者は6人(5月18日現在)と抑えられています。それでも3月下旬には政府から夜間外出禁止令が出され、ミャンマーの人々が一年で最も楽しみにしていた4月のティンジャン(水かけ祭り)は事実上中止になってしまいました。ラタンの製作現場も活動を制限されていましたが、5月に入ってようやく正常化したところです。
私たちとミャンマーの付き合いは既に四半世紀に及びますが、考えてみればこの間多くの困難がありました。隣国タイに端を発した1997年のアジア通貨危機、民主化への渇望がいよいよ抑えられないほどに高まった2007年には僧侶たちを中心とした「サフラン革命」と呼ばれる反政府運動が起こり、日本人のジャーナリストが凶弾に倒れました。翌2008年にはサイクロン「ナルギス」の直撃を受けたエーヤワディデルタやヤンゴン管区が甚大な被害を受けました。この間ミャンマーは継続してアメリカの経済制裁下で成長著しい東南アジアのなかにあって唯一取り残された存在であり、アメリカ不在の間隙を縫って政治的・経済的干渉を強めてきた隣国・中国とも上手に付き合いながら国家運営をしてきました。
言うなればミャンマーは経済的には長くロックダウンされたに等しい状態にありながら、温暖な気候に恵まれ国民が食べるには困らないだけの農作物ができることで人々は飢えることもなく長い年月を耐え抜いてきました。つまり現下のような非常事態を日常のものとして受け容れてきた歴史と経験があり、いま世界中の国々が置かれているような苦境を生き抜く処世術を本能的に体得しているようなところがあります。
幸いなことに私たちがオーダーしたアイテムは先日無事入荷しています。新型コロナウイルスの影響で現地での検品ができませんでしたが大きな問題はありませんでした。まず取引先様向けの商品の供給を終えてからになりますが、新商品や再入荷商品など徐々にラタンスタイルに反映させていきますのでお楽しみに。