シュエダゴン・パゴダ

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 私たちが販売しているラタン製品はミャンマーで作られています。「ラタン・ヴィレッジ」と呼ばれるその村は旧都ヤンゴンから高速道路をクルマで西に4時間の場所にあり、その村で家内制手工業的な生産方法によって生み出されます。
 ラタン製品の製作は一握りの熟練の職人を除く村人たちにとって副業であり、彼らの多くは米農家です。ラタン・ヴィレッジのあるエーヤワディ(イラワジ)管区のデルタ地帯では二期作が行われていますが、ラタン製品の製作は米農家にとって農閑期の貴重な収入源でもあります。
 ヴィレッジの各工房で作られた製品はピックアップされてヤンゴン市内のファクトリーに集められます。そこで表面の毛羽立ちなどを除去した後に染色や塗装を施して完成となります。ファクトリーには数十人のスタッフが働いており、8月に検品と打ち合わせでファクトリーを訪れるのにあたり彼らにお土産を持参することにしました。

 
 東京・日暮里の繊維街にある「ミハマクロス」はミャンマー人に人気のお店。こちらで売られているロンジー(ミャンマーで日常的に着用されている腰布状の民族衣装)用の生地をたくさん持って行きました。ヤンゴンのマーケットなどで売られているロンジーとはテイストの異なる和柄の生地が人気を博しているようです。ファクトリーに持ち込んだ生地を見たスタッフたちはキラキラと目を輝かせていました。東京から重いダンボールを抱えて行った甲斐があったというものです。

 その前日、バンコクを経由してヤンゴンに着いた時は既に夕刻でした。今回のホテルは先日サッカーの日本代表がワールドカップのアジア二次予選をミャンマー代表と戦ったトゥウンナ・スタジアムのすぐそばです。その日はもう夕食を済ませて寝るだけでしたが、食事の前にシュエダゴン・パゴダに参拝することにしました。ヤンゴンに来るたびに参拝していますが、初めて訪れた時を除いていつも夕刻に来ています。境内は素足で歩かなければならず、昼間だと床の大理石が熱くなっていて歩くのが大変なのと、ライトアップされた仏塔が美しいのが理由です。地元の人たちも多くがこの時間に参拝するようです。

 参拝する際は自分が生まれた曜日をあらかじめ調べておき、階段状の参道で供物や金箔を購入し、八曜日でそれぞれ定められた方法で参拝します。初めてここを訪れた時は自分の生まれた曜日がわからず、そばを通りかかった僧侶が持っていた百年暦で調べてもらったのをおぼえています。ちなみに私は木曜日生まれで、動物は「鼠」、方角は「西」、星は「木星」、性格は「温厚、人道主義」だそうです。
 参拝を終え、小雨が降るなか大仏塔を囲む回廊をぐるっと一周していると人々が集まっている一角がありました。人混みの中で足を止めて仏塔を見上げる人々の視線をなぞると、そこには尖塔に絡みつくように乱舞する無数の蝙蝠の姿。耳を澄ますと雨音に混じって聴こえてきた鐘の音。その長く柔らかな音色はこの喧騒の旧都の中央に位置する不思議な空間の非現実性を際立たせ、しばし時間を忘れ幻想的な雰囲気に浸ったのでした。 
 
 
シュエダゴンパゴダの入場料・時間・行き方・曜日・歴史を詳しく解説